石見銀山登録の過程において
先週末だったか。NHKを見ていたら、石見銀山登録の特集番組が放送されていた。
内容としては、イコモスの登録延期勧告を受けた後、どのような動きがあり登録に逆転したのか。
会議当日の流れや、世界遺産委員の一部のインタビューなどから構成。
竹腰大田市長の生インタビューも。
竹腰市長に対しては、石見銀山が世界遺産登録されたことを受けて観光客が増加していることで引き起こされている問題について。
- 石見銀山は居住区と近接しており、観光客のマナーの悪さから住民が苦情
- その問題解消のために居住区への車の通り抜けを禁止したら今度は商店主から苦情
- 苦肉の策として、一部通り抜け可としたが今後の課題として残る
みたいな感じ。
あと、この中では触れてなかったけど、当然のことながら大田市の中心市街地への波及効果は見た感じほとんどない。
もしかしたら、仕出屋や小売店など多少は影響もあるかもしれないけど、駅通りなんかに人影が増えたかというとそんな印象はまったくない。
サンノア、パルはどう考えているのか。
イコモスの勧告から当日の逆転劇については、並々ならぬ努力があったものと思われる。
チュニジアかどこかの委員はとても好意的にプッシュし、チリの委員も世界遺産に値すると委員会で火蓋を切ったとか。
いろいろと政治的駆け引きもあったんだろうなーと想像はできるけど、こういった好意的な対応には素直に喜びたい。
一方で、会場の雰囲気が登録に向けて高まったところで、韓国の委員からは「アジアの鉱山との比較検証が十分でない」などの疑問が示され、雲行きが怪しくなったとか。
そこでもやはり前述した好意的な委員がプッシュし、最終的には反対国なしで可決。
専門家集団であるイコモスの勧告を事務屋である世界遺産委員会が覆すというのは異例だとのこと。
なかなか面白い番組だった。
あと、実際に観光に来た人から出ていた意見として、「世界遺産ということで来たがもの足りない」と。
ここが一番の課題になるかもしれない。
せっかく来てくれた人にしっかりとその価値を伝えることができなければ意味がない。
10年後に改めて世界遺産登録の是非を考えてみるべきかな。
番組中に石見銀山の価値として盛んに言われていたのが「環境との共生を重視した銀山経営」。
当時、採掘や精錬のために木を伐採したら、その分新たに苗木を植えて森林を保全してきたというもの。
(これは僕のざっとした理解の仕方)
正直、こういうことはまったく知らなかった。
僕の中では石見銀山=井戸平左衛門=芋代官てな感覚。